3月11日午後2時45分の前後の事

今日から、ときどき、被災からblog再開までのことを書こうと思う。

3月11日は、やや会議が多い事を除けば、いつも通りの1日になるはずだった。
1時半から栄養に関する会議、2時から医療安全に関する会議が続いていた。
医療安全の会議では、高齢者の入浴中の事故をどのように予防するか、カメラや介助と言った方法をできるだけ使わずに転倒や急病の発見をするかというテーマで話し合っていた。
大筋で方向性が決まりつつあったその時、揺れがやってきた。
揺れ始めた時には、地震の大きさには気づかなかった。揺れ始めてから5秒くらいしてから、揺れが大きい事、全員で机の下に隠れた方がいい事を共有した。会議は中断となり、僕はすぐにデイケアルームへ移動した。
デイケアルームでは、ちょうどみんなが机の下から出て、椅子に座っていたところだった。
デイケアルームは耐震構造がしっかりしていることを多くの人が知っているため、みんな落ち着いている。せっかく落ち着いているので、その落ち着いた状態のまま、デイケアルームから送迎バスへとみんなをお送りした。避難経路とあまり変わらないので、まぁいいだろう。

デイケアルームでは人の被害も、物の被害もなかった。確認し終わってから、院内保育に預けている子どもがどうなっているか気になって、保育所へ行こうとした。すると別な職員から呼び止められ、外へ連れて行かれた。するとそこには、保育士さんにおんぶされた子どもが・・。事態の大きさはもちろん知る由もなく、きょとんとした顔でいた。思わず笑顔になり、すぐに現場の確認に努めた。

午後4時に会議室へ集まり、緊急の対策会議が開かれた。
その時点で分かっている現状は、以下のようなものだった。
・停電している。おそらく復旧の見通しはない。
・水をくみ上げるポンプの電力がないため、水がなくなる可能性が高い。
・エレベーターが止まっている。(通常の配膳方法がつかえない)
そこで、以下の事が決まった。
・自家発電機の電力は、生命維持系の機器(吸引など)にまわす。翌朝までやってみる
・エレベーターが止まっているので、職員全員で配膳リレーをする。
・薬局の調剤機器も止まっているので、とりあえず調剤はストップ。ただし自家発電機に少しでも余剰が出たら調剤機器に回す。
その後、残っていた職員全員で配膳をした。久しぶりのバケツリレー状態。明りがほとんどないので、デイケアルームに残していたアロマキャンドルと懐中電灯を使ってリレー。何人かの看護師が「ナイチンゲール誓詞を思い出す」と笑っていた。また他の職員が「今日はアロマキャンドルで雰囲気のいい食卓ね」と患者さんに話しかけていた。
この頃には館内の安全がある程度確認され、体育館に誘導していた入院患者さんたちを院内に誘導した。

翌日の朝9時に災害対策会議を開くこととなり、とりあえずは解散となった。

すっかり日も暮れ、帰宅しようとして病院を出ると、びっくりするくらいにキレイな星空が僕と子どもを包んでくれた。停電して街の明かりが消えると、ここまでキレイな星空が見えるのか・・・・。
(つづく)