先生の最終講義の内容を少し紹介

テーマは、小児期崩壊性障害。
と聞くと一般の人はびっくりする診断名。
広汎性発達障害(PDD)の一種で、2歳くらいまではほぼ正常に発達をするのだがその後2歳6ヶ月から7ヶ月くらいの時に言語性の消失を伴う発達レベルの低下が見られるもの。ただし発達が止まるわけではなく、ある一定の時期の後に発達してゆくことが多い。
先生がある程度強調していたことのうち印象に残っている事を2つ紹介すると、
1)言語性の消失(つまり、話さなくなること)を経験した児童は、他の発達障害を経験する児童に比べて予後が比較的悪い
 →つまり、小児期崩壊性障害の場合は言語性の消失を伴うので、より注意が必要である
2)発達障害は、自閉症・小児期崩壊性障害・レット障害などを含めると有病率は1%近くなる。そう考えると統合失調症と同程度の発症率と言えるのだが、統合失調症を専門とする医師数に比較して小児精神医学を専門とする精神科医は非常に少ない。
 →先生はこの点をこれ以上言わなかったが、小児精神医学を扱えない精神科医が非常に多いことは一つの問題だと思われる。


他に小児期崩壊性障害について先生が触れたのは
・「2歳までほぼ正常に発達」と言うが言語製消失以前の発達がまったく正常なのかどうかはまだわからない(先生は、2歳以前の発達を正常と言い切ることには反対の立場のようだった)
・遺伝負因がない(30例以上見て近親者に精神科適応のあった例が1例もない)と思われる
・心理社会的ストレスとの関連は明らかでない。ただし、小児期崩壊性障害の30%前後の事例には心理社会的ストレスと思われる事象があったと報告されている。この点について海外の研究者の中には、「子供が突然発達障害になったことにより心理社会的ストレスがあったとの認知が強くなるのではないか」と解釈している人もいる。


他にもあった気がするのですが、これくらいに。