コミュニケーション技法の紹介-共感-に使った資料から


★共感することによる効果

  • 患者-治療者間に気持ちの通い合う経験が生じる
  • 気持ちの通い合う経験が、治療者への良好な感情を呼び起こす

★共感に関する壁(よくある間違い)

  • 感情移入や逆転移と共感を混同する(例:自分が落ち込んでいるときに猫を見て「あぁ、このネコも淋しいと感じているんだろう。よしよし、なでなで。」)
  • 受容していないうちに共感を伝えようとしてしまう 
  • 会話の内容をそのまま返信する (これも技法の一つだが、共感的な効果は得られにくい)
  • 相手の感情を誤解する (もっと大きな感情の存在に気づかない)

★今日の技法

  • 話のなかにある”内容”と”感情”とを分析的に理解する(NON-VERVAL)
    • 先入観を捨ててストーリーとしてよく聴くことが大事(ストーリーのテーマとして、ある感情が存在することが多い)
    • 「でも」などの逆説的な言葉が出たときには、その後に重要な感情が隠されている。特に両価性を理解するのが大事。
    • イメージを膨らませて、自分が相手の立場だったらどんな気持ちかを考える
  • 理解した”感情”について返信する(VERVAL,NON-VERVAL)
    • 既にかたられた感情は、似ている言葉で言いかえをする。 
    • 感情が言葉になっていないときには、言葉で返すことが効果的

例1「じゃあ、○○だったことがあなたに・・・・と感じさせたのですね。(主語を本人でなく出来事にすることで、受容しやすくする)」
例2「今、もし私があなたの立場だったらと思って考えてみました。きっと、・・・・・だったのではないでしょうか。(こちらの誠意を前面に出す方法)」
例3「○○という気持ちと××という気持ちが入り混じった状況だったのですね。それはお辛かったと思います。(両価性を共感する方法。)」

    • 本人が言葉にできないほど深い気持ちを抱いているときは、こちらも非言語で返すか「こういう時には言葉が出ない」ことを共感することが効果的。
  • 相手の「共感してくれた」感覚を察知する
    • 「そうなんですよ」というニュアンスの言葉が思わず出てくるような感情の共有が共感
    • 「そうなんですよ」という返事が出るまで待ってみる
    • もし違っていた場合には、ストーリーの理解が不足しているので、ふたたび聴く 
    • 相手には自分の共感が伝わったと信じること(自分が共感された経験を忘れないことが大事)