被災地を地味に支援する話

4月から、ウチの病院に来る予定の職員がいます。
その職員は、今回の震災で津波を被った地域の病院で働いていた職員です。その職員が退職することになっていたこの3月に、震災がやってきました。
その震災で、彼女の勤務している病院の職員の自宅は数割が消失、数割が半壊以上で居住不能。そのため病院の会議室を仮眠室に変更し、泊まり込みで医療にあたっているそう。さらに地域では別の病院が外来診療不能となり、その病院に患者が集中しています。
その状況で病院を離れることは心情的につらい。そこで、こちらの病院での採用を延期し、その職員が働き続けることが出来るようにしようということになりました。
「私達が沿岸の病院に行って働くと言う支援も可能だけれど、それ以上に、被災地の医療従事者が心おきなく働けるように支援するというのも、地味だけど大事な支援だ」と。これは、副院長の言葉。
今日の夕方、その職員に電話して副院長の言葉を伝えたところ、感激していました。思う存分、支援をしてほしいと思います。もちろんウチの病院にも必要な人材なので、ひと段落したら、ぜひ来てほしいです。

一方で、ウチの病院から、宮城県名取地域の病院へ転職する職員がいます。
彼女は、震災でマヒしている新幹線の事もあって心情的に揺れている部分がありますが、気持ちよく送りだしてあげようと、きょう、ささやかに職場内で送別会を行いました。
宮城県名取市は、仙台空港が水没したりニュータウンが消失したり、大きな被害を負っている地域です。きっと、地域住民へのこころのケアが必要になるでしょう。人の命にかかわる仕事になるかもしれません。これまた、広い意味での被災地支援だと思って。ちなみに記念品として、プリザーブドフラワーを送りました。

その分、ウチの病院に来てくれる人、いないかしらね。ボランティアじゃなくて、むしろ専門職として。