笑いの解説がされていた

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R-1で優勝したなだぎ武のネタはなぜ優れていたのか

2月19日10時48分配信 ツカサネット新聞
 ピン(一人)芸人日本一を決める『R−1ぐらんぷり2008』の決勝戦が2008年2月17日、大阪市北区関西テレビで行われ、なだぎ武が昨年に続いて優勝し、賞金500万円を獲得した。優勝したネタは、なだぎ武が中学生の学生服を着て文化祭の出し物を考え、プレゼンテーションするというネタだ。ここでは代表的な笑いのパターンがたくさん取り込まれていた。われわれはそのパターンを見て、これからの笑いに対する批評眼を養うことにしよう。
(1)あるあるネタ
なだぎ武は文化祭の出し物のプレゼンで歌を歌おうとするが、その手に持っているのは懐かしいファミリーコンピューターの2プレイヤーのコントローラーについているマイクである。ファミコンの2Pのマイクで歌おうとするボケである。ファミコン世代なら、ファミコンのマイクで誰もが遊んだことがあるだろう。また誰もがファミコンの2Pについているマイクは何に使うのか?と思ったことがあるだろう。
このような日常生活における小さな発見、共感性の高いネタをある形式の中で披露するタイプのネタは一般に『あるあるネタ』と呼ばれている。このネタを得意としている芸人に例えば第1回R-1ぐらんぷり優勝者のだいたひかるがいる。他にもなだぎ武は今回、実際にいた双子の陸上選手でどっちがどっちだか分からない、というあるあると、ジャネット・ジャクソン木の実ナナどっちがどっちだか分からない、というあるあるネタを披露した。
(2)もの真似
なだぎ武はこの文化祭の出し物のプレゼンをするネタの中で、日本の伝統文化を取り入れた出し物が良いと提案、プレゼンの中で「ややこしや〜ややこしや」という音楽を流し、それに合わせコミカルな能の真似を披露する。これはNHKで放映されていた能をコミカルな顔と動きを付けてパロディーしたものである。もの真似で笑わすパターンは、「もの真似バトル」や「もの真似歌合戦」という内容のテレビ番組が無数にあることから、あまりにも有名だろう。
(3)繰り返しのパターン
ネタの冒頭に、ファミコンの2Pに付いているマイクで歌うネタがある。1回目歌おうとすると、途中でファミコンの調子が悪くなり、「プ〜」というファミコンカセットの接続が悪くなった時にファミコンから出る音が流れ、歌えなくなる、というパターンの笑いがある。そしてなだぎ武はネタの最後にこの笑いのパターンをもう1度繰り返して、ネタを閉めたのだ。うまい具合に最初のボケを後半にまた繰り返すとそのボケが2倍にも3倍にも爆発的に面白くなることがある。例えばM-1グランプリ2007のトータルテンボスの2回目のネタが繰り返しのパターンの参考になるだろう。
最後に指摘したいことは、なだぎ武が今回優れていたのは(1)と(2)の笑いのパターンを組み合わせたことだ。(1)実際にいた双子の陸上選手でどっちがどっちだかややこしい、ジャネットと木の実ナナどっちがどっちだかややこしい、というあるあるネタを披露した。その直後に(2)「ややこしや〜ややこしや〜」とNHKで放映されていた能をコミカルに真似た。つまり(1)のあるあるネタのボケに合わせて(2)のもの真似を披露するという2つの笑いのパターンを続けざまに披露した点が秀逸だった。なだぎ武のR-1 2008で使われた(1)あるあるネタ、(2)もの真似、(3)繰り返しのパターンという3つのパターンは笑いの代表的な手法である。なだぎ武はその代表的な笑いのパターンをすべて取り入れた分かりやすいネタで優勝した。
(記者:村上 哲也)