TEST-RETEST法のハナシ

2 名の評定者 rater が下した診断の不一致は、評定者が同席して面接にあたった場合も、別の時点で面接にあたった場合も発生する。
前者の一致率を評定者間信頼度inter-rater reliability、後者の一致率を再試験信頼度 test-retest reliability という。
診断の不一致の発生源としてSpitzer ら (1975) は、被検者分散 subject variance、状況分散 situation variance、情報分散information variance、基準分散 criterion variance、観察分散 observation variance の5つがあるとした。患者の状態が時間の経過とともに変化するため再試験信頼度が低下するものが被検者分散である。患者の症状そのものは同じでも、面接を実施する状況が異なるために患者の供述が変化するため再試験信頼度が低下するものが状況分散である。面接者の質問が異なるために患者の供述が異なり、再試験信頼度が低下するものが情報分散である。患者の供述やその他の情報は全く同じであるが、そうした情報を統合する方法が面接者によって異なるために評定者間信頼度が低下するものが基準分散である。また同じように、患者の供述やその他の情報は全く同一であるが、重症度や閾値の設定が面接者によって異なるために評定者間信頼度が低下するものが観察分散である。

精神疾患診断の問題点と操作診断の必要性 北村 俊則 精神科診断学, 11(2); 191-218, 2000.

これって、精神疾患の医学的診断以外でも考えておいていいこと、でしょうねぇ。