メタボリックシンドローム初の全国調査

メタボリックシンドローム 新年度、初の全国12万人調査 厚労省

 肥満に加え、高血糖や高血圧の異常が重なると生活習慣病の引き金になる「メタボリックシンドローム内臓脂肪症候群)」について、厚生労働省は平成十八年度、十二万人を対象にした大規模な全国調査に乗り出す。該当者と予備軍がどれぐらい存在するかを正確に把握する初の試み。生活習慣病対策の基礎データとして活用される。  メタボリックシンドロームの該当者はこれまで全国で二千万人ともいわれていたが、研究者らによる全国調査はなかった。厚労省の調査で正確に推計できれば、今後の対策の実効力の向上も期待できそうだ。  厚労省によると、調査は都道府県ごとに各五十単位区を設定して行う。一単位区は任意の二十世帯、約五十人を想定。全国の調査対象者は計十一万七千五百人に上る。  調査では、メタボリックシンドロームに該当するかどうか把握するため、(1)ウエスト周囲径(2)血圧(3)血中のHDLコレステロール−を測定。さらに問診で運動習慣の有無や飲酒・喫煙といった生活習慣全般に関して質問し、メタボリックシンドロームとの関連性を調べる。健康診断を受けているかや、食事・運動を改善する保健指導プログラムの利用頻度、メタボリックシンドロームという概念の知識の有無などについても尋ねる。  調査結果は、各都道府県がまとめる健康増進計画(平成二十年度施行予定)の基礎データとしても活用。増進計画は、生活習慣病の減少率などの目標数値を設定し、その達成を目指す内容で、生活習慣病予備軍に当たるメタボリックシンドロームの該当者数の把握は不可欠という。  メタボリックシンドロームの診断基準を作成した大阪大学名誉教授の松澤佑次・住友病院長は「メタボリックシンドロームの全国の該当者数の推計はこれまで、厚労省の国民健康・栄養調査から判断したり、研究者が特定の地域で調査したケースがあった。国による実態調査は、心筋梗塞(こうそく)など動脈硬化が原因で起きる生活習慣病の予備軍を特定するもので、該当する人が意識して生活習慣を改善していく契機になる」と語っている。      ◇ 【用語解説】メタボリックシンドローム  ウエスト周囲径が男性85センチ以上、女性90センチ以上を必須条件に、血圧▽血糖▽血液中の中性脂肪かHDL(善玉)コレステロール値のうち二つ以上が異常だと、糖尿病や心筋梗塞などのリスクが高まる状態を指す。内臓脂肪の過剰な蓄積が元凶とされるため、ウエスト測定が不可欠になる。 (産経新聞) - 1月29日3時0分更新

医療従事者の間では使われる用語の一つであるメタボリック・シンドローム
この調査が行われることなども契機となって、おそらく用語も認知されるようになるでしょう。