Go Straight !

オリエンテーリングのインカレ(学生選手権)、今年も終わりました。


僕の出身校のチームは入賞を逃し、東北大学が優勝した。東北大学のみなさま、おめでとう!優勝するまでには、その選手の前後の世代の選手たちが力をつけることが重要なのだと思う。「伝統」とでも言うかもしれない。そういう意味では、後輩に対する影響力を持った先輩がいること、意識の高い後輩がいることの2点をクリアしている今年の東北大学は、優勝するに値する力を持ったチームだったと思える。


帰りの新幹線で考えたこと、長いのでちょっと小さく書きます。

 イングランドのことばで、よく「フットボール(サッカー)は少年を大人にし、大人を紳士にする」と言われます。僕は、楽しく熱中できるスポーツの多く、特にオリエンテーリングにこの言葉は当てはまるのだろうと思います。その理由を書こうと思います。

 サッカーを実際にプレイした経験のない人、観戦した経験の少ない人は、冒頭の言葉に違和感を感じたことでしょう。応援している姿にせよ、得点直後の選手の姿にせよ、サッカーに関する映像の多くは紳士淑女という言葉とは無縁に見えるからです。しかし、紳士淑女とは無縁に見えるこれらの姿こそがスポーツの魅力であり人間を成長させる要素ではないかと思うのです。自分の感性をすべてぶつける場があるからこそ、自分の快感を素直に表現する場があるからこそ、少年は大人になれるし大人は紳士になれるのだと思うのです。
 僕が出会ったスポーツであるオリエンテーリングは、ほとんどの場合は大学生活の中で出会います。高校を出たての"こども"たちがオリエンテーリングと出会い、森林の中を子供のように楽しく駆け回るわけです。森の中を走っているときには、地図とコンパスと目の前の森しかない。余計なことを考えていると途端に迷ってしまう(現在地ロスト)ので、多くの選手は真剣になる。  選手たちは、自分のイマジネーションを最大限に活用して、10秒後、1分後に見えるはずの地形をイメージしながら森林を走る。イメージしないで走る場合は、現地を見てから地図を見ることになるため、どうしても走るペースが落ちるのである。自分のイメージが実際に見えてきた地形と一致して、目的地であるコントロール(ポスト)を発見したときの快感は、他のスポーツでは味わえない格別なものである。
 「どんな紳士淑女もサッカーの前ではほとんどの時間を子供のままで過ごす*1」というが、オリエンテーリングもまたこのような要素があると思う。サッカーのように、ひょっとしたらサッカー以上に、オリエンテーリングは少年を大人に、大人を紳士にしてくれるスポーツなのだろうと思うのである。

なお、今日のタイトル「Go Straight!」はオリエンテーリングの基本テクニックのひとつ、「直進」から採りました。

*1:「サッカーという至福(武智幸徳:日本経済新聞社)」より引用