<便秘>成人女性10人に1人悩み ほぼ全員に睡眠トラブル


 国立精神・神経センター精神保健研究所と花王の研究グループが首都圏の成人女性約2000人を対象に実施した調査で、10人に1人が便秘など神経性の便通の悩みを抱えており、そのほぼ全員に睡眠トラブルがあることが分かった。睡眠が便通に影響を与えていることが明らかになったのは初めて。7月1日から東京都内で始まる日本睡眠学会で発表する。
調査は02年12月〜03年5月、首都圏在住の25〜64歳の女性を対象に実施した。無作為抽出した2000人中、99%から回答を得た。このうち睡眠障害を起こしやすい交代勤務者、便通にトラブルが起こりやすい常習的な飲酒者、治療中の病気を持つ人を除く約1600人分を分析した。
 その結果、腸の動きが低下して起こる機能性便秘や、腸をコントロールする神経がストレスなどを受けて便秘や下痢の症状を繰り返す過敏性腸症候群の症状を持つ女性が1割を超えた。その女性たちの睡眠状況を「途中で目覚め、熟睡感がない」「寝付きが悪い」「悪夢を見る」「朝の目覚めが悪い」などの項目で点数化したところ、便通の正常な女性に比べ、最大で1.5倍も点数が悪かった。
 同グループによると、睡眠状態が悪いと消化器系のリズムが崩れ、眠っている間に作られる便の状態が悪くなる。また、便意は胃に食物が入った刺激で催されるため、睡眠不足になると、食欲が抑制されて朝食を取らないケースが増え、排便抑制につながる。一方、小腸ではインターロイキンなど睡眠を促進する物質が生成されるため、腸の働きが悪化すると、眠りにくくなるという。
 研究グループの白川修一郎・同研究所老人精神保健研究室長は「最近の成人女性の睡眠時間はかなり短く、首都圏では6時間以下という人が4割を超える。睡眠と便通のトラブルのどちらが引き金になっているか分からないが、便秘や下痢の解消のためには、投薬や食事だけではなく、睡眠状態の改善が欠かせない」と話している。〜毎日新聞 2004・6・25〜